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All Arounder

第56章 Strong Women



『昔ね、雑誌見ていた時にね…』


「姫って雑誌とか読むの?」


『…お屋敷にいたとき、黒羽がこっそり持ってきてくれてたの』



黒羽とは姫の専属の使用人だった男だ

好きにはなれない男の名前を久しぶりに耳に入れてしまい、大志は少し後悔した



『雑誌自体は全然…目を通すだけだったんだけど
そこにね、いつもちょっとした小説が載ってたの。
連載してあって…』


「へぇ」



『そのね』



姫はまた、ぎゅうっと大志を抱きしめた




『主人公の男の子が、大志とそっくりなんだよ』




「え?ほんとに?」



照れていいのか何なのか…

とりあえず会話していく




『うん、すごく喧嘩っ早くて』


「おい」




『でも強くってやさしくって、
あたしもこんな風になりたいなぁって、思っちゃったり…』


幼い子がヒーローに憧れるように

姫もまたその主人公に憧れていたことがあった




『いっつも大変なことに巻き込まれる女の子を助けていくんだよっ

…だからあたしも、大志を助けられるようになりたい』




「…へぇ」



その、いつも助けられている女の子になりたいとか、
そんなことは思わないんだろうか?



「女の子って、その女の子になりたいって憧れそうだけどな」



『その男の子に迷惑かけてる気がするからイヤ』


「ぶはっ」




思わず吹き出してしまった



「じゃあ姫は、自分が強くなってもその女の子助けないの?
迷惑だから」


『…助ける』



「だろ?」




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