All Arounder
第56章 Strong Women
「そんなもんだよ。
守ってやらなきゃって思えちまうんだよ」
『…』
「だからオレも姫を守るために強くなりたいって思うし…何より一番大切だから」
『…///』
「ってなんかこっぱずかしこと言わせんな」
むぎゅっと姫の顔を両手で包んで寄せた
『たいひが自分で言ったんやよ』
「はは、まぁとりあえず、姫は今のままでいいよ。
何か一日中様子がおかしかったけど、気にすんな」
『あたひは…つよくないたい』
「姫は強い!」
『よわい!』
「いーや強い!」
『よわいいい!!』
大志が半ばふざけた言い方をするのが気に食わなかったのか
それほど姫は真剣だったのか
姫の目じりからポロリと涙がこぼれた
「え!!?」
一気に大志は青ざめる
『つよくなりたいんらよ…
大志を守れるようになりたいんらよぉ…』
「…」
まじめに応えたつもりだったんだけどなぁ…
「姫、ありがとう」
『…』
鼻をすすりながら、姫は大志の目を見た
「姫がそれだけ、オレのこと想ってくれてるってよ~くわかった。
嬉しすぎてオレも涙が出そう」
『ウソだ』
「ほんとだ。
でもな、姫。
そんな背伸びする必要はない」
姫は涙をぬぐった
大志もそれを、手伝ってやる
「さっきも言ったけど、オレは姫を守ってやりてぃと思うから、もっと強くなりたいとも思える。
これは姫がいてくれるおかげだろ?」
『…』
「そんな姫が、どうする?
もしオレよりハイパー強くなったら、オレの立場ないじゃん」
『…たしかに』
「だろ?
でもオレが姫を守れるのはせいぜい身の危険からだけだよ。
オレは逆に、姫に心を救われてんだから」
『…』
「いつも一緒にいてくれて、ありがとう。
守りたいって思わせてくれでありがとう」
『…いつも、守ってくれてありがとう、
一緒にいてくれて、ありがとう…』
「かわいくてありがとう」
『…かっこよくてありがとう…』
「やさ…」
『やさしくしてくれてありがとう…っ
いつも笑ってくれて、気にかけてくれて、ありがとううううう!』
姫はまた涙を流しながら、大志に抱き着く
大志はホッと胸をなでおろした