一万回目のプロポーズ
第10章 チューしな殴んぞ
「…明奈」
『ん?』
名前を呼ばれ、あたしは振り向いた
俊司は腕に頭を乗せ、こっちを見ていた
「チューしな殴んぞ」
『え』
ふざけてかそうでないのか
俊司はわざと、眉間にシワを寄せた
それを見て、あたしは思わず吹き出しそうになる
『…殴んないで?///』
あの頃、あたしが俊司に何て返していたか…
そんなことは忘れてしまった
でも
俊司の言葉だけは
いつまでも残ってるんだよ
あたしは布団から少し体を伸ばし
肘を立てて、俊司に顔を近づけた
「ん」
唇を突き出したまま、ほっぺを向けてくる
そんな様子が、可愛く思えた