
一万回目のプロポーズ
第13章 孤独かどうか
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「明奈、おはよー」
『おはよう』
香織のいつもと変わらない"おはよう"に、少なからずホッとする自分がいる
「修学旅行終わっちゃったねー、もうあたしらには勉強しか残されてないのかぁ…」
『それ言うな〜』
あたしは鞄を置くと、早速机に突っ伏した
「なーに、もう寝るの?」
『だって眠いんだもん』
っていうのは、ほんとは嘘
「昨日はあたし、帰ってから速攻寝たから元気」
『ふふー、よかったじゃーん』
ほんとは…
怖いの
「明奈は何してたわけ?」
『んー、お勉強』
「嘘付け」
嫌な思い出が蘇る
靴下のまま廊下を歩いている小さい自分
助けを求めても、相手と自分の間に隔たる見えない壁
あれを連想させる事柄は
全部あたしを拒絶する
