一万回目のプロポーズ
第13章 孤独かどうか
『―――なぁにが"しっかり話を聞いてないからこうなるんですぅ"なわけ!?』
授業が終わってから、あたしは鬱憤を机を叩いて晴らした
「秋奈がいつまでも笑ってるからだろー?」
俊司はわざとらしくそう言う
『俊司が悪いんだからね!!
あたしだって1番はわかったもん!!』
「はいはい、わかりましたわかりました」
―――教科書を仕舞うと、あたしはトイレに向かった
気分はルンルン
さっきの授業中の、俊司とのやり取りを思い出すだけ…
それだけで、口元が持ち上がってしまう
トイレの扉を開けると、全然人はいなかった
こういう時、2人くらいはいてほしいと思うことがある
キィ…
すると、後ろから扉を開く音がした
『…!!』
あたしは急いで個室に駆け込んだ
磨りガラスから見えたシルエットで、誰なのかがわかったからだ
…千尋、だったからだ