
一万回目のプロポーズ
第14章 かませ!
『ふぁ〜』
今のは別に、あくびじゃない
何だか変に緊張が解けたからだ
椅子に深く腰掛けた
肩の力も、一気に抜けた
…俊司が、あたしの方に駆け寄ってきてくれた…あああああああ〜〜〜!!
足をジタバタさせたい
必死にこらえる
もうもどかしすぎてつらい…
きっと試合が始まれば、あたしはそこに引き込まれてしまうんだろうな
スポーツの試合を生で観ることなんてほんとに経験したことないけど
なんかそんな気がする
がんばってる俊司に夢中になってしまう気がする…
『ふぁ〜…』
2度目のため息で、ようやく落ち着いた
まったく…俊司俊司って…ほんと気持ち悪いわあたし…
少し前まで全然そんなこと言わなかったし、関りもしないようにしてたのに
それが今では
俊司きゃ〜
俊司きゅ〜ん
て
きもいきもい
いや、まぁでもいっか〜
なんて考えていられるのもつかの間だった
一気に我に帰り、顔を下向ける
遠くの方の客席に見えた
千尋の姿だ
『まじか…』
今日は楽しむだけで終わらなさそうな気がした
