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一万回目のプロポーズ

第14章 かませ!




千尋の後をついていくと、試合会場の外まで出た



なんせ田舎だから、田んぼの広がりもここから見える





周りに人はいない



会場の裏口だから、余計だ




「ねぇ、明奈」




千尋は

本当に可愛い子だった




『…』




「本当に、いい加減にして…」





たぶん、


悲しみでゆがんでいた





「なんで俊司と仲良くするの…?
ていうか、何で俊司はあんたなんかと仲良く…するのよ…?」



『…それは…』





何を伝えたらいいのかわからない



あれこれ言葉は浮かんでも、全て却下されていく





「俊司の彼女はあたしなのに…なんであんたばっかり…ぜったいおかしいもん…ねえ…」



なんだか


気づいた気がした




千尋がどんなにあたしに酷いことしてきたか


1番知っているのはあたし




でも千尋がそんなことするのには理由があって


例えそのやり方が間違えであったとしても



ただ千尋は

俊司を好きだったんだって


ひたすら



好きで





あたしみたいに



俊司のこと好きになっちゃって





『あたしは、俊司の試合を見に来たの』





千尋の目が大きく開いた





『千尋もそうなんでしょ?』






正直な気持ちを言った



他に、思い浮かばなかった







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