一万回目のプロポーズ
第14章 かませ!
『いた…』
視界が潤んだ
涙を堪えるのに必死だった
『ねぇ、見ないなら、なんで千尋はここに来たの?
見たくないの?俊司がサッカーしてるとこ、見に来たんでしょ!?』
「なんでそんないっつもいっつもいい子ちゃんぶってんだよ!!
そういうとこが前から気に食わないんだよ!!!」
ほとんど奇声
千尋の甲高い声は、聴き取るのがやっと
でも、千尋の言葉にはどこか納得するところがあった
少しじゃない
たくさんあった
『あたしは…わかんないよ…いい子ぶってるつもりなんてないし、千尋がそう思うなら思ってたらいいじゃん!!』
気づくと
あたしの手
千尋のほっぺた叩いてた
『でもだからって…虐めなんてありえないよ…
虐められた人の気持ちは…千尋にはわかんないでしょ』
これが
言いたかったのかもしれない
「マジで…死んじまえ!!」
『いやだし!!喧嘩しに来たんじゃないから!戻らせて!!』
喧嘩しに来たんじゃない
とかいいつつも、はたき返しちゃったんだけども