一万回目のプロポーズ
第14章 かませ!
「お前ら何してんだよ!!?」
険悪な空気が一気に静まった
『し…』
名前を呼ぶこともためらってしまう
だってこんな姿…
「しゅ、俊司ーーーー!!!」
千尋は
号泣
あたしだって泣きたいよ
「ちょっ…まさか喧嘩してたのか!?」
俊司はこっちに駆けてくる
汗だくで
きっと、疲れ切っているはずなのに
「二人とも…おいおい…」
俊司は、あたしと千尋の間に立った
どうしてあたしの方に駆け寄ってくれなかったのって、些細なことが気にかかる
「もうイヤ!イヤー!!何でこんなことなるの!?」
千尋は小さい子のように泣きじゃくり、手を伸ばして俊司を求めた
「…」
俊司は眉を下げ、そんな千尋の手を取ってやった
あたしとしてはもう、気分最悪だよね
「ひっく…、うっ、しゅんじぃ…」
もうやめてくれって感じ
あたしの目の前で、千尋は俊司に抱きつく
別に拒もうともしない俊司
はい
サイアク
『…勝手にしたらいいじゃん』
泣いてやろうか
走って逃げてやろうか
もうなんでもいい
ふてくされて…やろうか