一万回目のプロポーズ
第4章 あの時みたいに…
気まずい沈黙がしばらく続いた
どうやって話を切り出そうか迷っていると、俊司がボソッと口ずさんだ
「…別に…」
『え?』
「…何でもない」
何だ!?
『そういえば俊司、千尋と一緒に帰ってなかったっけ?』
「帰ってた」
…ですよね…
「途中まで、千尋を家に送ってやろうと思ってたけど…雨降ってきたし、引き返した」
『雨くらいで引き返すな、男なら最後まで送りなさーい』
すると、俊司はふと窓の外を見た
「あ
雨止んだ」
『ほんとだ』
どうやらさっきのは通り雨だったみたいで
少し太陽も出てきたようだ
「じゃあ、男だし…明奈は家まで送ってやるよ」
『へ?』
俊司は立ち上がると、
「行こ」と手招きした
『いや大丈夫!!
あたしは一人で…、千尋にも悪いし…!!』
あたしは鞄や服をかっさらうようにして持ち、玄関へと駆けていった