一万回目のプロポーズ
第8章 ドキドキの始まり
どれくらいそのまま
手を引っ張られていたんだろ?
その大きな
少し強引な手を
あたしは握り返しても
いいのかな…?
『俊司…どこ行くの…?』
「…」
俊司はあたしに目も合わさず
ずんずん前へ進んでいく
『ねぇ、俊司…』
どんどん、繋いでくれる手の力は強くなっていく
『俊司ってば…』
よろけそうになりながら、あたしは俊司の後ろをついていく
『い…痛いよ…』
そう言ってやっと
俊司はあたしの方を向いてくれた
手はそのまま、繋いだ状態で…
「…なぁ…」
やっと口を開いてくれたかと思うと
俊司はあたしを、そばにあった桜の木に押さえつけた
『俊司…?』
「お前の好きな奴って…誰だよ?」