一万回目のプロポーズ
第8章 ドキドキの始まり
『え…?』
恨めしそうな目を向けてくる俊司に
何と返せばいいのかわからない
しばらく黙っていると、もう一度聞いてきた
「なぁ、好きな奴って誰だよ?」
『そ…』
…んなことを
本人の前で言えるか…
あたしがチキン野郎って知ってて言ってんの?
ってか、あんたがそんなこと聞いてどうすんのよ?
『…秘密』
「あ?」
『秘密だもん』
すると俊司は、握っていた手をさらに強く握った
「…言うまで…離さねぇぞ…?」
あんたは
あたしを殺す気か…
『じゃあ離さなくていい…///』
「え?///」
あたしは
多分、自分では気づかなかったけど
涙声だった
『ずっと握ってて…///』