一万回目のプロポーズ
第9章 二人でまた
あたしはそんな状態が急に恥ずかしくなって
離してほしかったから、手の平を広げたけど
俊司の指が
絡み付いた
『俊司…あのー…///』
「明奈は…忘れちまったかもしれないけどさ…」
俊司はあたしと目を合わせないで
どこか遠くを見て、そう言った
「俺は…忘れてないから…」
『…何を?』
少しずつ暖かくなる季節の割に、夜は寒かった
でも俊司の手はポカポカとしていて
ずっと握っていたくなる
「あの…だからさ…」
『うん…』
「いつまでも…未練がましいっつうか…その…」
俊司はゴホンッと軽く咳ばらいすると
あたしの方を向いた
「約束…忘れてねーんだ///」
『…え』
緊張とは違う、変な、ぐねぐねとした何かが
あたしの中を動き回った
『…約束…?』
あたし
今、どんな顔をしてるんだろうな…
多分、口がポカンと開きっぱなし
「うん…約束…///」
強引に
繋いでいた手を引っ張られた
あたしは
優しく、俊司に抱きしめられる
「これ…381回目…」
あたしは声を出さなかった
何か呟いて、俊司の声を掻き消してしまいたくなかった
この言葉を
あたしは
どれだけ待っていたんだろう
「結婚しよ」