2人乗り
第4章 ふれることから
「あのね、直希…
直希と手をつなぐの
慣れたのかも
しれないけど……
あたしもね…
あたしも
つなぎたいって
思ったの…
直希が
手をつないでくれるとね
恥ずかしいってゆーより
うれしかった
だから
黙ったり
しなくなったのかも…
昨日まで
会えなかったでしょ?
私ね……
寂しかった
早く
直希に会いたいって
思ったの
付き合う前は…
そんな風に思わなかったのに。
だから…
その…
私……」
そこで
アキラは黙ってしまった。
俺は
ゆっくり
そっと
優しく
アキラを後ろから抱きしめた。
アキラが抱きしめている
クッションごと。
柔らかい……
女の子って、
こんなやわらかいんだ……
抱きしめるなんて
約束破りだ。
分かってるよ
手をにぎるだけって
約束だ。
ごめんな、アキラ
でも、俺
もう我慢できないよ