CROW―二つの魂―
第1章 第一部:若き戦士の覚醒
やはりこれは夢なんだと思うところである。
警察組織が形になったのは、明治時代に入って からだったというのを、学校の授業で習ったこ とがあるし、幕末に『新撰組』という武闘集団 が実在していたのは知っていたが『零番隊』と いうのは聞いたことがない。
九郎が知っている歴史とは微妙に違うのだ。
そして、今宵も玖郎はどこかに出かけてゆく。
どれぐらい歩いただろう…?
誰かを探してるのかかなりの距離を歩いている 気がする。
月がきれいだな…と思った
河原に着いたところで、目当ての人物を見つけ た。
派手な着物を着ていて体格もがっしりといかに も強そうな大男だ。
それに対して玖郎の方は、小柄とも言うべき体 躯で、相手の大男とは正反対。
玖郎は、大男に声をかけた。
「過激派攘夷団体回天党党首、田中 信十朗殿と お見受けする」
「あん、なんだ。誰だ、貴様は?」
「新撰組零番隊、安馬乾 玖郎」
「丹色(にいろ)のだんだら羽織りに女子(お なご)と見紛(みまご)う体躯……。貴様、あ の“人斬り玖朗”かっ!?」
零番隊では、暗殺を主な任務にするという、そ の特殊性から、他との差別化を図るために、通 常の新撰組隊士が、着用する浅葱 色のだんだら 羽織りではなく、血のように赤く暗い、丹色の 羽織りが支給されている。
「そう呼ばれていることもあるな……」
「その“人斬り玖朗”が、俺に何か用か?」
「先日の旅籠屋強盗事件に貴殿が関与している との情報が入り、貴殿の始末に参上仕(つかま つ)った…」
男の顔が一気に青ざめる
「な、なにを証拠に決めつけてやがる!!」
「昨夜、密通が入った。あの晩の目撃者からの 情報だ。確かに貴殿があの旅籠屋から出ていく のを見たとな。裏も取れている」
「はん!そんなの誰かが俺を陥れようとした偽 の情報かも知れねぇだろうが!」
「……往生際が悪いと思わないか?」
警察組織が形になったのは、明治時代に入って からだったというのを、学校の授業で習ったこ とがあるし、幕末に『新撰組』という武闘集団 が実在していたのは知っていたが『零番隊』と いうのは聞いたことがない。
九郎が知っている歴史とは微妙に違うのだ。
そして、今宵も玖郎はどこかに出かけてゆく。
どれぐらい歩いただろう…?
誰かを探してるのかかなりの距離を歩いている 気がする。
月がきれいだな…と思った
河原に着いたところで、目当ての人物を見つけ た。
派手な着物を着ていて体格もがっしりといかに も強そうな大男だ。
それに対して玖郎の方は、小柄とも言うべき体 躯で、相手の大男とは正反対。
玖郎は、大男に声をかけた。
「過激派攘夷団体回天党党首、田中 信十朗殿と お見受けする」
「あん、なんだ。誰だ、貴様は?」
「新撰組零番隊、安馬乾 玖郎」
「丹色(にいろ)のだんだら羽織りに女子(お なご)と見紛(みまご)う体躯……。貴様、あ の“人斬り玖朗”かっ!?」
零番隊では、暗殺を主な任務にするという、そ の特殊性から、他との差別化を図るために、通 常の新撰組隊士が、着用する浅葱 色のだんだら 羽織りではなく、血のように赤く暗い、丹色の 羽織りが支給されている。
「そう呼ばれていることもあるな……」
「その“人斬り玖朗”が、俺に何か用か?」
「先日の旅籠屋強盗事件に貴殿が関与している との情報が入り、貴殿の始末に参上仕(つかま つ)った…」
男の顔が一気に青ざめる
「な、なにを証拠に決めつけてやがる!!」
「昨夜、密通が入った。あの晩の目撃者からの 情報だ。確かに貴殿があの旅籠屋から出ていく のを見たとな。裏も取れている」
「はん!そんなの誰かが俺を陥れようとした偽 の情報かも知れねぇだろうが!」
「……往生際が悪いと思わないか?」