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CROW―二つの魂―

第1章 第一部:若き戦士の覚醒

「あーあー、関与どころか、

んだよ!最近、組織の活動資金も底を尽きかけてたんでな!!」

田中 信十朗という男の、まさかのカミングアウトに、九郎は驚きを通り越して呆れる。

「いや、楽な仕事だったぜ!仲間と夜中の旅籠屋に押し入って、中で寝てる奴らを皆殺しにしたあ と、金庫から金を奪って逃げりゃいいんだからよ!まぁ、これも正義の為の尊い犠牲だ。死んだ奴らも浮かばれるだろうよ!」

『うわぁ~こいつ最悪……』


へっへっへっと下卑た笑いを浮かべる男に、九郎 は嫌悪感を覚えた。

対して玖郎の方は眉一つ動かさず、男をジッと見据えている。

「まぁ、聞いたからにゃあてめぇも生かして帰し はしないけどな!人斬り玖朗だかなんだか知らねぇけどな、てめぇみたいなガキが、俺様を殺すことなんざできるわけねぇんだよ!」

そう叫び、男は自分の刀を抜き正眼に構えた。

「貴様のやったことは、正義でも何でもない、己の欲を満たさんとするがためのただの殺戮だ……。」

玖郎は静かに呟き、冷静にじっと相手を見つめ、 刀は抜かず、体を右半身と右足を前に出し、刀の柄に手を添えて構えた。

『あ、この構えは確か抜刀術ってやつだ……!』

九郎は前に、テレビの特番で居合いの達人が、 藁(わら)を巻いた木の棒をこの抜刀術(居合い抜きとも言う)という技で試し斬りしていたのを 思い出した。

しかし、この玖郎の構えとテレビで見た居合いの 達人の構えとでは、少し違う。

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