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続:眠れぬ王子と猫な僕

第2章 俺は子守り中

冷side







「思い当たる場所は…愁の別荘3つと瑛兎の別荘1つだな…」



俺は愁が行きそうな場所をパソコンで絞り込んだ。



愁の性格から言って、一人で遠くまでは行けないだろうし、本土からは出ていないだろう。



まずは瑛兎に聞いてみるか…。




俺は携帯で瑛兎の自宅に電話をかけた。


「もしもし。どちら様でしょうか。」



品のいい声で、メイドが受け答えた。



「竜洞冷と申します。駿咲瑛兎さんはご在宅ですか。」




「竜洞様ですね。存じ上げております。ただいまお繋ぎ致します。」




するとすぐに切り替わって、面倒だと言わんばかりの声で応答があった。




「何の用だよ。」



「愁がいなくなった。知らないか。」




「いなくなった?喧嘩でもしたのか。」




「違うんだよ。いきなりで驚いてるんだ。」




「俺は何も聞いてない。妖巳にも聞いてみるか?」




「そうしてくれ。」




受話器を離して、妖巳に訊ねる声が微かに聞こえた。




「わかったぞ。ちょっと前に架神が、愁と旅行に行くって言ってたらしい。多分それじゃないか?」




架神と旅行…。



それって浮気じゃないか。




沸々と怒りが込み上げてきた。



愁が心配で堪らない。




「場所、わかるか?」




「妖巳に聞けよ。代わるから。」




すぐ隣で聞いてたのだろう。



間もなく妖巳の小さな高い声が聞こえた。



柔らかな口調で、「もしもし?冷さん?」と声をかけられた。




「妖巳、愁がどこにいったかわかるか?」




「あ、えっと…有名な、ししょち?だって言ってたけど…。」




「ししょち?…もしかして避暑地のことかな?」




「た…ぶん…。ごめんなさい…。」



「いや。助かったよ。お陰さまで場所がわかった。じゃあ切る。またな。」




「はいっ。さようならっ。」




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