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カイダン

第3章 コモリ

そこには、依子がいた。
「依子!何で最近来なかったんだ?俺はもう心配で!」すると依子はこう言った。
「だって、優希ももう子守するほどじゃないし、ひでちゃんも優希に優しくなったよ。だから私はもういいと思ったの。いつまでも甘やかしちゃダメだからね。」依子はまるで母親のように言う。俺は、「子供扱いするなよ。」と少し怒る。依子は笑いながら、「ひでちゃんはもう過去を忘れなきゃいけないんだよ?いつまでもひきづってると良いことが起こらないんだよ。だから新しい女性と交際しなさい。」俺は黙ってきく。
依子は急に悲しい顔になり、もう行かなきゃ。と言った。
俺は待ってくれ!と言うが依子は顔を横に振り、「優希よろしくね。もう大きいけど目を離さないようにね。やんちゃだから優希は。」依子は少しずつ消えていく。俺は泣きながら依子に手を伸ばす。しかし掴めない。依子は続ける。「それと新しい交際相手、自分の事をしっかり見てくれる人と付き合う事。」俺は泣き崩れる。最後に依子は笑顔で、「本当に楽しかったよ。ありがとう。ひでちゃん。」といって消えた。俺はまた体中の水分がなくなる位泣いた。
一年後、俺は交際を始めた。名前は柚木 ゆきだ。柚木は依子と同じで俺の話をしっかり聞いてくれる優しい人だった。今日は家族三人でピクニックに行くのだ。
俺は過去を忘れる事は無いと思う。依子の思い出を忘れたくなかった。俺は今でも依子の写真をたまに見る。
「ひであき~行こ。」「ああ今行くよ。」俺は写真をしまい、優希と柚木の元へと走って行った。
END

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