性教育学校
第33章 すれ違い
「どうぞ?」
机の上に
季節外れのココアをくれた
白い煙が出ている
「…ありがとうございます」
向かい合って座ってるのに
少し違和感もあった
「飲みながらでいいから
内容の説明するわね?」
「はい」
短い髪を耳にかけ
たくさん重なっている
白い紙をめくっている
耳にはピアスがついてる
見れば見るほど
ほんとに綺麗な人だった
「明日は××県に行って
性についての講演会をするの。
榎本さんは
お手伝い役っていうより
助手をしてもらうわ」
「××県…?
県外に行くんですか?」
「ええ。
とても大きな講演会なの」
そんな大事だとは
全然思ってなかった
「この講演会はね
少し普通とは違った所があるの」
先生は話を続ける
「榎本さんには
あたしが言った事を
その場で実践してもらうわ」
「…その場で実践?」
「少し抵抗があると思うけど
我慢してやってね?
拒んだりしたら絶対ダメ」
真剣な先生と
目を合わせられない
「…例えばどんな事ですか……?」
「この学校でやってきた事よ」
やってきた事って…
えっち…の事?
「だいたいの予想と覚悟を
明日までにしといてね。
榎本さんなら
今までこの学校で頑張ってきたから
できるはずよ」
予想はだいぶ出来ていた
きっとそれは正しい
あたしは
覚悟をしとかないとなんだ…
これは
怖さとかじゃなくて
羞恥心…だと思う
羞恥心を捨てなさいって
事だよね…