捕らえた獲物をなぶる獣の爪は
冷たいナイフ
花を散らした無情の男に
見せつけるのは
憎しみ故か
それとも 花への愛ゆえか…
馬鹿な女だ
この言葉に由奈への想いのすべてが込められているようで、何とも言えない…そう、哀しみにも似た感情を覚えました
修斗のナイフを持つ手を止めたい!
けれど、かつて由奈の命を引き戻したナイフが今は萌を辱しめる
その手慣れた刃の動きがもうひとつの修斗の声のようです
狂気に垣間見える冷静が殊更怖い…
抵抗することさえ忘れるほど限界に追い込まれた萌に誰か、救いの手を!
更新ありがとうございます!
修斗の狂気が柊の狂気を呼ぶ予感が…
れい☆さんのレビュー一覧
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[評価] ★★★★★
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[評価] ★★★★★息ができない…
萌の恐怖に思いが重なり、周囲から空気が一瞬消え失せました
その執拗な動きがぬめる深海魚とは…
質感、湿度がありありと肌に伝わり読んでいて総毛立ちます
修斗、その手を離せ!
読みながら何度声を上げたことか…
修斗の怒りのほどを見せつけるような描写に、目を逸らしたい、のにできない
自分の感情さえ持て余す思いです
役割、という言葉に含まれた冷たい狂気…
手足の自由を奪われ、次なる恐怖が萌を壊してしまう前に誰でもいいっ!
誰かっ!
私は呆然と佇むばかりですが、救いはあるのでしょうか
更新ありがとうございます!
じわじわと私も追い込まれてゆくようです…
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[評価] ★★★★★白光の明滅に浮かぶ恐れと狂気は夜をも苛む…
ついに明かされた男の正体
─薄闇の中
蒼く立ち上るような狂気
とは、何と今の修斗に相応しく美しい言葉であることか
けれど組を背負うほどの男が見せる報復という名のめめしさは、散らされた花への手向けになりはしないものを
シャッター音、強い恨み…舌
ああ、萌を救いたい!
巽さんの必死の願いを叶えたい!
高まる緊張の中胸が張り裂けそうです…
何度萌の代わりに柊の名を呼んだことでしょう
そして萌にシンクロしながらも冷静に勇気をもって筆を運ぼうとする作者さまに想いを至す時、この作品への深い愛に胸が熱くなるのです
更新、ありがとうございます!
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[評価] ★★★★★恐怖の色は閃光の様な白色かもしれない…
狂気じみた男の行為に一気にその場に引き込まれました
男の豹変に追い付かない萌の混乱
そのズレが生む不穏…
やがて萌の途切れ途切れの独白に血の気がひいてゆく顔が浮かび、車内の閉塞感と相まって萌の呼吸で息をしている自分に気づきます
混乱がおさまるほどにつのる怖れ…
殊更恐怖を煽る表現はないにも関わらず心が青ざめてならないのは、的確で深い心理と行動の描写に尽きるのでしょう
この男は…
ロックしろ、十分で終わるの言葉が招くある予感に震えます
更新ありがとうございます!
託された手紙とは?
渦中にあって父の言葉を思い出す萌の胸中…たまりません
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[評価] ★★★★★黒き影よ
周到にはりめぐらせた網に
その獲物を捕らえし時
ほくそ笑んだのか
消えゆく命のもとへと
急ぐか弱き鳥を
連れ回し 誘いこみ
してやったりと
乱した髪を撫で上げたのか
その所業
光る眼差しに宿る想いは
誰ゆえに…
今しも小鳥はひとり
箱の中…
守護者よ 急げ
風に乗れ
黒き影を疾くはらえ!
更新ありがとうございます!
萌っ!と思わず声をあげてしまいました…
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[評価] ★★★★★光と音の乱舞
交錯する柊の不安
クライマックスは甦る残像
煽られヒートアップする客席の熱と、焦燥から冷えてゆく柊の胸の内
その相反する描写に息詰まる思いで釘付けになっていました
そして熱狂の人波を分けてランウェイに降り立った神さながらの柊
まさに圧巻!
けれど
『このルックが
俺にとっては今日のラスト』
逸る気持ちから来るものと知りながら、殊更にラストを意識する柊に不安がつのります
黒い影の正体が明かされる時、闇の中の魔が目覚める…
サスペンスのto be continueを思わせる区切りに吐息が洩れました
更新ありがとうございます!
振り向かない萌の背中を思い出す柊の胸の内…Ah -
[評価] ★★★★★ステージでは光を纏い
戻っては次の衣装と共に不安を纏う
その後悔と逡巡
暴走しそうになる不安を宥める孤独…
走り去った萌と時を同じくして綴られる柊の胸の内が、袖に渦巻くさまが細やかで一心に見つめてしまいました
そして人の命に関わる理由とはいえ柊の望みが通ったことに、この道に懸けてきた柊のこれまでと、その天性に惹かれた関係者の思いを感じ胸が熱くなったのです
身構えていた柊の心が演出家のOKにふっと和む様子がすぐにまた緊張に包まれる予感は次の展開へのざわめきに繋がります
果たして柊と萌はこの後…
巽さんは…
更新ありがとうございます!
厳しい業界の中、垣間見た人の情
柊は守られている…
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[評価] ★★★★★闇よりも濃い影が
か弱き者に忍び寄る
孤独に震える心の隙を衝くように…
自分を責めながら駆ける息遣い
二律背反に跳ね上がる心
葛藤とたった一つの足音が響き合い際立つ萌の孤独が胸に迫ります
そして現れた男…
黒いスーツ
長身
鷹のような瞳
…後ろへ撫で付けた髪
これはあの…!
『綺麗に後ろへ撫で付けていた髪に
片手を入れて
無造作に崩した。』
この秀逸な表現!
文楽人形の頭が、一瞬にして般若へと変化(へんげ)する映像が重なり背筋が凍りました
まさに暗転
萌…行ってはいけない!
聖戦…
勝負の行方もさりながら、戦士一人一人の苦悩に思いを至しています
更新ありがとうございました! -
[評価] ★★★★★今すぐは無理なんだ…
ランウェイの先に萌との未来を描けばこそ信念を持って溢れた言葉は、見舞ったあの日からの覚悟でしょうか
いい顔になった…巽さんの言葉が甦ります
けれど柊を頼みに夜を駆けた萌には届かない…
屈んでいても心の目線は必ずしも合っていず、泣きじゃくる萌の感情の糸がふいに途切れ、絶望へと揺れる瞬間まで平行線で進むふたりの想い
息詰まる緊張感がたまりません
闇の中飛び出した萌への想いと父への想い
それでも尚ステージで輝く柊の天性がいっそ哀しく胸を揺すります
闇に魔の手はひそむのか
和虎、どうか…!
更新ありがとうございます!
静謐な筆致の中鮮やかな情景に想いは乱れるばかりです -
[評価] ★★★★★愛ゆえに
傷つき 傷つけおかす過ち
それに手を当てるのもまた 愛ゆえ
和虎の柊へ 由奈へ向ける愛が胸に迫る…
向かい合う柊と和虎
短い時間の中で想いを尽くして柊を諌める和虎の心の動きがひしひしと感じられ、臨場感に息を呑みながら思い止まった柊に安堵しました
そして一転して華やかなステージで輝く柊の描写にしばし酔いながら、天職という言葉を思うのです
暗と明…
その鮮やかな筆致は次なる暗の描写へ向かうのでしょう
泣きじゃくる萌が携えてきた言葉に景色は凍りつきます
渦に巻かれる木の葉のような柊…
ヒリヒリする展開の中、全てを見届けたいと胸の前で指を組んでいます
更新ありがとうございます!