掲示板

みんなで掌編小説を投稿しよう!

誰でも参加自由。小説ジャンルも自由。

1レス(500文字以内)で完結する掌編小説を投稿してください。掲示板ジャンルを【宣伝】にしたのは、レスに短い小説を投稿することで、

「この人、こんな感じの小説書くんだな。もっと他の作品も見てみたいな」

という感じで、ここに小説を載せることが間接的にその人にとっての宣伝になってくれればいいな、という思いで選びました(なので、宣伝だけ書くというのはご遠慮ください。あくまでも小説を投稿してください)

掌編小説というのは、200文字~800文字で完結する超短い小説をさします。掌編小説の文字数規定でいえば800文字までなのですが、ここの掲示板のコメント文字数制限が500文字までなので、かなり短くなりますが、500文字以内の小説を書いてください。

楽しい作品がたくさん投稿されることを願って…

スタート!!


19 【打ち上げ花火】

ドーンと、僕の真上で弾けた花火。

去年と変わらぬ地元の夏祭り―――…。

花火は、祭り最後に打ち上げられる商工会の目玉。

もちろん規模は小さいし、流行りの曲などの演出はなく…低予算が隠せない歪な打ち上げ花火の数々に多少の残念さは否めない。

でも―――去年、あの子と一緒にこの花火を見て

【一生忘れられない花火だ】

と、柄にもなく思ったりもした。

大好きだったあの子と一緒に見たから―――。


友達何人かと一緒に来たお祭りと…花火。

打ち上げの時間に友達とはぐれた俺とその子で、仕方なくその場に立ち止まり見た……花火。

「アイツらと合流する前にさ、ちょっとだけここで花火見ていかねぇ?」

一生分の勇気を振り絞りその場に止まる事を提案し「そうだね」と、軽い了承をもらったのを昨日のように思い出す。


3分―――…


俺と彼女が一緒に立ち止まり花火を見上げたのは…ほんの3分。

それでも、肩が触れ合うその場所で見た花火は…一生忘れないと…思えるほど、俺には永遠のモノとなった。

そして、今年―――彼女は他の男と…この花火を見ると…噂で聞いた。
20 【魔法の玉】
「父ちゃんはな、実は……魔法の玉を作ってんだ」
「えぇ、何それ!」
「いいか。魔法の玉ってのはな、ドーンと空に打ち上げると、多くの人間の感情を一気に引き出せるんだ。
 喜び、感動、苦い思い出があるヤツは悲しみ、嫌いなヤツは『うっせー!』と怒り、お前みたいな小さい子供は怖くて怯え、バカップルはロマンチックな気分に浸りイチャイチャチュッチューってなる。どうだ、スゲーだろ」
 全然意味がわからないけど、父ちゃんがいちいち変な顔をするのが面白くて、ずっとゲラゲラと笑っていた。

 数十年後。

 亡き親父の後を継いで花火職人となった俺は、今年も無数の玉を作り上げた。当然だが、全て自信作だ。
 打ち上げまでのカウントダウンが、もう間もなく始まろうとしている。
「お前ら! 魔法の玉の準備はいいかー!」
 俺の呼びかけに、弟子達が笑い声を上げる。
「大将ー! その呼び方どうにかなりませんかねぇ!?」
「俺は小さい頃からそう教わってきたんだ! 文句があるなら天にいる親父に言えっ!」
 俺も笑いながら言い返した。
 ……親父。俺は今年も魔法の玉で、多くの人間の感情を引き出してみせるからな。
21 【ASMR】

ARMRって知ってる?
「Autonomous Sensory Meridian Response」の略で「自律感覚絶頂反応」という意味らしいんだけど、ようは音フェチね。

私最近眠れなくて、寝る前にYouTuberのAさんのARMR動画をよく観てるの。メイクしたりエステしたり……まるで本当にされてるみたいですぐ眠れるのよ。

でも最近のAさん、迷走してるみたい。
ARMR動画を出すYouTuberが増えてきたせいか、再生回数も伸びないみたいで。他のも観てるけど、私はAさんの動画が一番好き。……と言いたいところだけど、最近のAさんの動画はかなり微妙。

いつも通りのメイク動画なんだけど、画面がすごく揺れるの。ああいうのって固定したカメラに向かってメイクするフリなはずなんだけど、本当に誰かにメイクしてるみたいで、Aさんがメイクするたびに画面が激しく動くのよ。
しかも血のようなものが回りに飛び散ったりして、かなりグロテスク。音はペチャッとかグチャッとかホラーな感じ。まさか……とは思ったけど、でも悲鳴は聞こえないし、気のせいだよね。
Aさんの目が笑ってないのが、超不気味。

22
【くじ】

私はチャレンジくじをしてみた。
それは、こういったものだ。

⇨ *がついている六つの数字のうち、ひとつ選んで下さい。

そこから選んだ数字の数だけ、その下から数えていき、さらに止まった数字の所の数だけ下に数えて下さい。それを繰り返して最後に止まった所の商品をプレゼントだ。

確実にひとつずつ数えて下さい。


スタート

*8

*5

*7

*6

*2

*4

*7

 1

 8

 4

 9

 3

 2

 9

 7

 4

 6

 8

☆サイパン一泊二日の旅

☆総額100万円分の錦鯉の餌

☆大阪豊中市大衆食堂「いわ屋」フルコース

☆生声での「いい加減に離しなはれ」

☆大ハズレ

☆ゲンブ&ウラユ漫才ディナーショー


結果、外れてしまった。だが、どれに当たっても、ハズレのような気がする。

当てた方はいるのだろうか?


てか、いかさまだ……。
サイパン一泊二日て……。
23 【組織】

もう走れない。

私は裏路地へ入って、休息をとった。息が切れ、心臓がどくどくと鳴る。このまま息が整うまでしばらくとどまっていたい気分だったけど、そうもいかない。

私は組織の人間に追われているのだ。追手は1人ではない。2人でもない。数え切れない人間が私を追っている。こうして僅かな休息をとっている間にも、あいつらは私の居場所を特定しているかもしれない。

しかも追手は拳銃を持っている。場合によっては命の危険さえあるのだ。

恐怖感と孤独感と焦燥感で、胸がいっぱいになる。

今はとにかく動き回って、居場所を悟られないようにしなければいけない。

私は、壁から顔を半分だけ出して、追手の様子をうかがった。

ちょうど追手がよそ見をしていたので、その隙をついて、また駆け出した。が、スカートが引っかかったせいで、音を立てて転んでしまった。

――終わった。

観念した。追手がいっせいに駆け寄ってきくる。私は起き上がる間もなく、捕まってしまった。複数の手が私の服をつかみ、体を押さえつける。

「いや! やめて!」

振り絞った私の声を、追手の声が遮った。

「20時3分、犯人確保」
24 【間違い探し】

待ち合わせ場所に20分遅れで現れた彼女をひと目見て、私はどこか違和感を覚えた。
「お待たせー」
毎日会ってる相手なのに、何かがいつも違う気がする。
「ごめん。怒ってる?」
ただ見つめるだけで何も言わなかったから、気分を害していると思ったらしい。
彼女に問われて私は慌てて首を振った。
「ううん、そうじゃなくて」
「そう? ならいいんだけど」
早く入ろう、と促され、彼女に続いてゲートを通る。
「あっちだよ、いこいこ」
無邪気に私の手を引く彼女。その懐っこいところはいつも通りだ。
前髪を切った? ヒールだから?
彼女の背を追いながら考える。昨日の彼女の間違いは、なに?
薄暗いシアターに入ると、ちょうど広告が始まったところらしかった。
「ギリギリになっちゃったね、ごめんね」
「間に合ったんだから気にしないで」
小声でこそこそ言い合って、足下灯を頼りに席を探す。
並んで座り、何となしにその横顔を見て閃いた。スクリーンからの光に照らされた艶のあるリップ。
「それ、新色?」
自分の唇に触れながら聞く。
彼女はパチリと瞬きをして
「うん。試してみる?」と。
私の唇に色を移した。
25 【バス】

市内から少し離れた、山手側のふもとに住む会社の同僚の家に、 わざわざトイレを借りに行った俺。しょうがないよな、自宅の便器が割れたんだから。

他に仲のいい知ったやつもいないし、新婚新築のやつのトイレは綺麗で尻洗浄もある。厚かましく晩飯もご馳走になった俺は、同僚夫婦の冷たい見送りを受けながら、バス停に向かった。

最終は九時半。予定よりなぜか十分早く来た。俺は、早速乗り込んだ。客は、俺一人。

街灯の少ない山道をひたすら走る。もちろん、誰も乗ってこない。窓を見ると、鏡のように俺の顔と白い顔の女性が映る。

「っ!!」

振り返るが、誰もいない。よく見たら車内のポスターだ。

もうすぐ、町の駅前のバス停に着く頃だと、俺は赤いボタンを押した。

バスは走り続ける。だが、町には着かない。ずっと真っ暗な道を走るばかりだ。

バスは雑木林の中に入って行く。さすがにおかしい。

「おい、止まれ!」と運転席までいくと、そこに運転手はいなかった。

だが、前を見て俺は、戦慄を覚えた。


外には、運転手の首吊り死体があった。

すると、どこからか声がした。

「350円いただきます」



26 【じゃん・けん・ぽん!!】~怖い話バージョン~

何気なくじゃんけんをした。

「じゃん・けん・ぽん!!」

私はグー、相手はチョキ。

「やった! 勝った!」

ほんの少しの優越感を胸に、私は鏡の前を去った。

――おわり――
27 【それ、『究極の選択』か?】

 ――ある中学生男子二人の会話。

「なぁなぁ」
「んだよ」

「町に彗星が落ちてくるのと、
 ゾンビが襲ってくるの、
 どっちがいい?」

「……あのさ、そのゾンビって何体?」
「1体」
「それ、倒せるの?」
「うん」
「じゃあ俺、ゾンビがいい」
「だよな」

 ―おしまい―
28 【朱色】

「つまりさ、好きな人と一番触れ合えるのは冬だと思うわけ」
唐突に始まった話に、私は首を傾げた。
「はぁ?」
そう思わない? と嘯く彼は涼しげな目元で微笑んでいて。
思わず見惚れたのを隠すように、私は窓の外を見る。傾きかけた夏の太陽が目に眩しい。
「無駄話はいいからほら、問題解く」
「厳しい」
彼はシャーペンを握り直し、ノートに向き直る。
「冬はマフラー貸したりとか、ポケットにどうぞとかできんじゃん?」
話しながらも手は動いていて、だから今度は文句も言えず言葉を返した。
「少女漫画の読みすぎじゃないの」
「女子はそういうの好きだろ」
「それなら梅雨は相合傘ができるわね」
なるほど、と頷かれても困るんだけど。
「じゃあ春と秋は?」
「……花見と月見に誘うとか」
「……」
せめてなんか言ってよ。
適当すぎた発言を恥じていると、彼はじゃあさ、と顔を上げて私を見た。
「明日、花火大会行かね?」
え?
戸惑う私に彼は続ける。
「季節の行事に誘えってことかと」
そう、だけど。
「今のは好きな人と過ごす話でしょ?」
「だからだよ」

夏の夕暮れと私と彼と。誰の頬がより朱い?
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