憾み その2

連載中

[作品説明]

『ナレーションスクールで正しい発音を身に付け、アルバイトで笑顔を身に付けました。他の人にはない、自分のカラーを持ったナレーターを目指しています』
 僕はここ最近、笑顔を失っています。
 そして、主な活動が紹介されていた。イベントコンパニオン・イベントMC・リポーター。
 始めは心が大きく揺蕩していたが、観ている内にスーっと落ち着いて行く気がした。頼むからこのままの状態でいてくれ!


 翌日の午前9時過ぎ。外からはもがり笛が聞こえる。平静を願って就寝したものの、目覚めれば反故同然。歯痒いというのか、腹の底で何かが涌いているような感じがして、のたうち回りたくなる。
 元はといえば、こんな気分を味わうのも全部自分のせい。自業自得なのだ。
 溯る事2年前――
 
 オレは私立東明館大学の学生だった。定時制での高校生活を過ごした後、国立大学と私立を受験し、見事? 東明館大学の文学部史学科に合格した。
 定時制と合わせて通信制も受講した三年間、学校を除けばたまに単発のアルバイトをするくらいで、後は引き籠もり同然に過ごした。金はないが暇はあった訳で、受験勉強をする時間には事欠かなかった。
 史学科を受けたのは、小学六年の時に社会科の授業で日本史を習ってから、特に戦国史が好きになり、漠然とそっちの道に進みたいと思ったからだ。
 人生の分岐点で安易な決め方をすると、後にそれはそれは「イッテーー!!」目に遭う。
確固たる志もないまま始まった大学生活。2ヶ月間は友達もいない「仮面一匹狼」で、キャンパスライフを謳歌する片鱗は微塵もなかった。
 
 

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