憾み その6
連載中[作品説明]
その週の土曜日。下北沢(世田谷区)の居酒屋の個室にて、舞田の言う「飲み会」は開かれた。結局、承諾した訳で……。
参加したのは、男性がオレと舞田、舞田の友達2人。女性が早稲田と、その友達3人の4対4だった。
女性を追ってノコノコ出ては来たが、やっぱり慣れない雰囲気。そこに追い討ちを掛けるように、舞田がオレと早稲田を、入って右端の席に向かい合わせにした。ありがたいが……始まる前から心臓が大きくバウンドする。
その時、早稲田と目が合い、「この間はどうも」と話し掛けてくれた。
「こちらこそ。今日も誘われたんですか?」
「そうなんです……」
早稲田は口に右手を当て、前のめりになった。何だろう? と左耳を近付ける。
「ゴリ押しされたんです。私押しに弱いから」
早稲田は照れ臭そうに笑った。たったこれだけで、宙にも浮かぶ気分である。
「それじゃあ、早速自己紹介から始めちゃいましょう! まずはオレから」
舞田が流暢に進行し始める。男3人が砕けた自己紹介を済ませ、オレの番になった。
「中山裕介です。本日は宜しくお願いします」
何とか噛まずに言えた。緊張すると妙に丁寧な口振りとなる、変な癖。
「かてーよユースケ!」
透かさず舞田がツッコミを入れ、軽く笑いが起きたが、言葉を返す余裕は全くなく、無言で座る。
続いて女性が自己紹介して行く。
「望です。今日はガンガン飲みましょう!」
「一緒に盛り上がろう!」
舞田の友達が入れた合いの手に、早稲田は笑顔で返した。
暫くすると、向かい合う男女の会話が弾み出し、早稲田もにこやかに相槌を打っている。
オレは一人マイペースを装って、黙って飲食するばかりだった。
参加したのは、男性がオレと舞田、舞田の友達2人。女性が早稲田と、その友達3人の4対4だった。
女性を追ってノコノコ出ては来たが、やっぱり慣れない雰囲気。そこに追い討ちを掛けるように、舞田がオレと早稲田を、入って右端の席に向かい合わせにした。ありがたいが……始まる前から心臓が大きくバウンドする。
その時、早稲田と目が合い、「この間はどうも」と話し掛けてくれた。
「こちらこそ。今日も誘われたんですか?」
「そうなんです……」
早稲田は口に右手を当て、前のめりになった。何だろう? と左耳を近付ける。
「ゴリ押しされたんです。私押しに弱いから」
早稲田は照れ臭そうに笑った。たったこれだけで、宙にも浮かぶ気分である。
「それじゃあ、早速自己紹介から始めちゃいましょう! まずはオレから」
舞田が流暢に進行し始める。男3人が砕けた自己紹介を済ませ、オレの番になった。
「中山裕介です。本日は宜しくお願いします」
何とか噛まずに言えた。緊張すると妙に丁寧な口振りとなる、変な癖。
「かてーよユースケ!」
透かさず舞田がツッコミを入れ、軽く笑いが起きたが、言葉を返す余裕は全くなく、無言で座る。
続いて女性が自己紹介して行く。
「望です。今日はガンガン飲みましょう!」
「一緒に盛り上がろう!」
舞田の友達が入れた合いの手に、早稲田は笑顔で返した。
暫くすると、向かい合う男女の会話が弾み出し、早稲田もにこやかに相槌を打っている。
オレは一人マイペースを装って、黙って飲食するばかりだった。
[タグ]
[レビュー]
この作品のレビューはまだありません。