テキストサイズ

ひねくれショタと変態大学生の平和的日常

第7章 それぞれの過去 二

「あっ、本田先生!」

その一言で俺は現実に戻ってきた。

正直このタイミングで名前を呼ばれたのはありがたかった。自分で過去を回想していたのに、いつのまにか止まらなくなってしまっていたからだ。

でも、あの後の記憶は草風といると嫌でも思い出してしまう…。あの後のことを……。

「あっ、えっと。なんですか?」

「どうしました? なんか顔色悪いですよ?」

「いえ、気にしないでください。大丈夫ですから」

「…そうですか」

本当にこの先生は優しい人だな。生徒にも他の先生に対しても気を使っている。

本当の意味で優しい人だな…。

俺とは正反対だ……。

「ええ。それで、どうかしたんですか? なにか用があったんですよね?」

「あ、そうだった。ちょっと今手が離せないからこれ、職員室に運んでもらってもいいかな?」

そう言って手渡された物はノートだった。

「わかりました」

「あっ、それとさ」

教室を出ようとした瞬間、もう一度呼び止められた。

「はい。なんでしょう?」

「いつものことながらわるいんだけとさ、草風のこと探してきてくれるかい?」

やっぱりか。草風関連ならよろこんで! でも俺、今草風に避けられてんだよな……。会えるかな…。まぁ会えるか。もし駄目だったら俺も少しは本気を出せばいいし。

「はい。わかりました」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ