全部、愛してた。
第6章 伝えなくてはいけないこと
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そして、午前の授業終了。
わたしと輝は遼ちゃんのところへ行った。
遼ちゃんは、相変わらず野菜ジュースを飲みながら佐伯と話していた。
佐伯は、遼ちゃんと同じサッカー部で、運動神経はいいがクラスの中では少し悪い系の…ヤツ。
わたしは、はっきりいって佐伯が苦手。
ま、そんなことはひとまず置いておいて……
「あのさ、遼ちゃん…借りてもいいかな?」
遼ちゃんはこっちを向いている。
「いーよ別に。どーぞー?」
やっぱり佐伯…苦手…。
「遼ちゃん、ちょっと来てくれる?」
「おい遼!風城にコクられるんじゃねーの?」
やっぱり佐伯…嫌いっ!!
「なわけねーだろ!空には輝がいるんだし…。てか昨日のことだろ?いーよ、話そー!」
…反省は、してなさそう…。
わたしと輝は、遼ちゃんを連れて屋上へ向かった。
輝が少しだけ眉毛をしかめていた気がした。