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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第1章 LessonⅠ 憂鬱な夜には

―まっ、まさか。誰がこんなスカ女、彼女にしたりするかよ。冗談もたいがいにしてくれよな。
 〝スカ女〟。そのひとことが十七歳の少女の心をどれだけ傷つけたか。恐らく、あれから長い年月が経った今、裕太はあの出来事を憶えてさえいないだろう。しかし、言われた方の輝はいまだにまだ、あの出来事に囚われたままだ。
 よく当たりくじなどでハズレが出た場合、〝スカだった〟という表現を使う。つまり、輝はスカ―ハズレなのだ。単にブスとか〝イケてない〟と言われるより、よほど辛かった。
 その裕太は二十八歳で結婚した。姉ほどではないにせよ、相手は社内恋愛で知り合ったという辻希美似の可愛い二つ下の女の子だった。今では二人の娘にも恵まれ、幸せに暮らしていると聞く。

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