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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第3章 LessonⅢ 悪意ある噂

 しかし、その辺りから、輝はどうにも頭痛が高じて勤務を続けていられる状態ではなくなった。昼辺りから、ずっと軽い兆候はあったのだが、何とか定時の退社まで我慢しようとしていたのだ。そのため、一人で食べた社員食堂の定食も殆ど残すことになってしまった。
 やはり、美奈子と思われる人物からの中傷メールが相当な打撃を与えたのだろう。今まで色々なことを言われてきたけれど、ここまで露骨に悪意をぶつけられたのは生まれて初めてであった。しかも、〝死ね、存在価値すらない〟とまで罵倒されたのだ。
 ともすれば目頭が熱くなり、泣けてきそうになる。できれば退社の五時まで勤務したかったが、どうにも堪え切れなくなり、気分が悪いと退社させて貰ったのは終業時刻一時間前の四時であった。

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