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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第4章 LessonⅣ 忍ぶれど

 その時、輝がクシュンと小さなくしゃみをした。吉瀬が慌てて自分のダウンコートを脱ぎ、輝にかけてくれる。
「駄目よ、こんなことをしたら、吉瀬さんが風邪を引いてしまうわ」
「俺なら、大丈夫だから」
 吉瀬は輝を安心させるように微笑みかけ、まずは輝を床に座らせ、自分はその隣に座った。二人ともに丁度ステンドグラスに背をもたせかける形で並んでいる。
「何から話したら良いか判らないわ」
「何でも。本間さんが喋りたいことから話して」
 うん、と、あどけない子どものように頷き、輝は喋り出した。
「私の名前は知ってますか?」
「うん、知ってるよ。本間輝っていうんだよね」
「そう、ひかる。輝くと書いて、ひかると読ませるの」

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