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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第4章 LessonⅣ 忍ぶれど

 返事がなかったので、輝は少し自嘲気味に言った。
「似合わない名前でしょ」
「そんなことはない」
 今度はすぐに吉瀬の反応があった。
「この名前のお陰で、余計に周囲からは苛められたわ。幼稚園でも〝ブスの癖に、似合わない〟って、随分と男の子たちから、からかわれた」
 吉瀬は思慮深げな瞳を一旦伏せ、それからまた開いた。それは、この場に最適な言葉を探しているようでもある。
「俺は口下手だから、上手く言えないけど。本間さんは外見ももちろん魅力的だけど、何より心の中にキラリと光るものを持っている。そのあなたなりの魅力を大切にしていけば良いんじゃないのかな」
「本当に? 本当にそんなものが私にあるのかしら」

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