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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第4章 LessonⅣ 忍ぶれど

 こんなに好きなのに、吉瀬に―聡に知られない方が不思議だと思う。だが、輝は気づいていない。聡が教会に飛び込んできたその時、既に彼女は重大な告白を彼にしているのだ。
―吉瀬さんと出逢ってから、ずっと幸せだった。空っぽだった心が温かいもので満たされているの。
 それが何より輝の心情を表しているものなのに。
 果たして、聡が輝の想いに気づいているのかどうかは判らない。けして鈍感な男ではないから、もしかして気づいていて知らないふりをしているのかもしれない。その理由は、考えたくもないけれど、迷惑に思われているか深入りしたくはないからのどちらか―どっちにしても、輝にはあまり嬉しいものではないはずだ。

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