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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第1章 LessonⅠ 憂鬱な夜には

 その人の隣が自分の居場所なのだ、しっくりくると自然に思えるような人に出逢いたかった。とはいえ、その男性も恐らくは綺麗な女性を好むだろうから、そういう意味で、自分にはやはりチャンスはめぐってこないのかもしれない。
―誰がこんなスカ女、彼女にしたりするかよ。
―君には無理だ。
 同じ歳の従兄と大学教授の放ったあのひとことが、ほぼ時を同じくして耳奥でリフレインする。
 輝は両手でほどいたままの長い髪をくしゃくしゃとかき回す。風呂上がりの洗いっ放しの髪はブローどころか、梳かしもしていない。鏡は見ていないが、恐らく失敗したポップコーンのように爆発しているに違いない。
 眼の前には、立ち上げたノートパソコンの液晶画面が迫っていた。何となくネットに繋いでみる。〝結婚 記念〟と入力して検索をかけると、忽ちにして検索結果がわらわらと出てきた。

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