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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第5章 LessonⅤ キャッツ・アイにて~孤独なピアノ~

「俺と結婚して。こんなおじさんで申し訳ないんだけど、人生やり直すのなら、輝さんしかもう相手は考えられないから。精一杯幸せにするよ」
「―」
 輝はもう何も言えなかった。言いたいこと、告げたいことは山ほどもあるのに、様々な感情が溢れ出て言葉にならない。
 大好きな聡さんにプロポーズされた。
 ただその事実だけが信じられない夢のように思え、頬を自分で思いきりつねってみる。
「痛っ」
 思わず痛みに顔をしかめた輝を、聡が笑いながら見ている。もう一度、唇にキスを落とされた。
 輝の背に回された聡の腕に心なしか力がこもった。最初は小鳥がついばむような挨拶程度のキスだったはずなのに、いつしか口づけは深くなってゆく。

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