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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第5章 LessonⅤ キャッツ・アイにて~孤独なピアノ~

「あの話の意味が判る?」
「―」
 輝は小首を傾げた。あの話に何か深い意味があったのだろうか。一向に思い当たらない。そんな彼女を見て、聡が吹き出した。
「やっぱり、輝さんだなぁ。普通、男がクリスマスイブにデートに誘って、ダイヤの指輪を贈るっていったら、ビビッとくるだろうに」
「あ―」
 そこまで言われて、漸く合点がいった。輝は眼を潤ませた。
 聡が笑いを含んだ声音で言う。
「やっと判ってくれた?」
「聡さん―」
 聡がいっとう優しい眼で輝を見つめている。
「こんな場合、どう言って申し込めば女の子が歓ぶのか判らないから、俺流でいくよ」
 彼はいきなり輝を引き寄せたかと思うと、チュッと唇に唇を押し当てた。

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