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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第2章 LessonⅡ 心ときめく記念日

 輝がたどたどしく説明していく間に、吉瀬の顔にまた愕きがひろがる。
「女性というのは哀しいときだけでなく、嬉しいときも泣くんですか! この歳になるまで、そんなことは知りもしませんでした」
 真面目な顔で言うので、輝はつい笑ってしまった。
「ああ、やっと笑いましたね。やはり、本間さんは笑った方が素敵です」
 吉瀬は言いながら、また頭に手をやった。
「良い歳をして、呆れたでしょう。こんな歳をして、いまだに女心の一つも解せない朴念仁ですからね。こんなんだから、女房にも逃げられるんですよ」
「えっ」
 輝が素っ頓狂な声を上げたので、吉瀬は眼を丸くしている。
「あ、済みません。大きな声出したりして」
 頬を赤らめた輝に、吉瀬は笑って首を振る。

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