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雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】

第3章 LessonⅢ 悪意ある噂

 確かに、吉瀬の言うとおりだった。トレーンを長く引いたタイプの方はむろんだけれど、デコルテを大胆に見せるデザインの方もスカートの裾は地面についただろう。今、輝が着ているのは、くるぶしの上くらいまでの長さしかないので、しゃがみ込んだりしない限り、裾が地面につく心配はあまりなさそうである。
「なかなか良いロケーションでしょう? 教会があるから、あれをバックに撮ればとふと思いつきましてね。室内のスクリーンも棄てたものじゃないけど、撮るなら、やっぱり本物が良い」
 機材の準備が終わったらしく、吉瀬が輝に指示を出す。教会を背景に、公園の入り口付近に立つように言われ、輝は素直に従った。
 吉瀬がカメラのファインダーを覗き込む。
「うん、なかなか良いですよ、それじゃあ、始めますよ」

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