雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第3章 LessonⅢ 悪意ある噂
が、生まれて初めて、男の腕に抱かれている輝の方は堪ったものではない。もう心臓はバクバクと破裂しそうな音を立てているし、身体中の血が顔に集まってきたのかと思うほど頬が熱い。
しかも、撮影の前に、防寒用に着てきたコートは脱いでしまっている。今は薄いドレスの布地越しに吉瀬の温かな手の感触がしっかりと伝わってきていた。
「良かった」
吉瀬が微笑んだ。その瞬間、ただでさえ烈しく脈打っていた輝の心臓は破裂しそうになった。
何て魅力的な笑顔なの! 若々しい外見はどう見ても四十歳程度にしか見えないけれど、それでも間近でよくよく見れば、確かに知的な光を湛えた深い瞳の側にはうっすらと皺が刻まれている。
しかも、撮影の前に、防寒用に着てきたコートは脱いでしまっている。今は薄いドレスの布地越しに吉瀬の温かな手の感触がしっかりと伝わってきていた。
「良かった」
吉瀬が微笑んだ。その瞬間、ただでさえ烈しく脈打っていた輝の心臓は破裂しそうになった。
何て魅力的な笑顔なの! 若々しい外見はどう見ても四十歳程度にしか見えないけれど、それでも間近でよくよく見れば、確かに知的な光を湛えた深い瞳の側にはうっすらと皺が刻まれている。