雪の華~Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第3章 LessonⅢ 悪意ある噂
だが、その皺さえも、吉瀬の場合は彼の魅力をいっそう引き立てている要素にしかならない。時は彼の上を優しく通り過ぎ、穏やかに刻まれた年輪は、彼という男により深みを与えたのだろう。吉瀬聡という男に限っていえば、彼の外見上、所々に見られる時の流れた痕跡はけして醜いものではなく、むしろ、彼をより輝かせているように見えた。
それは同じイケメンと形容しても、若い男にはない、例えていうなら燻し銀のような魅力とでもいえようか。逆にいえば、この年代の―人生を自分の脚で歩き、誠実で真摯に歳を重ねてきた男だけが持つ深みのようなものであった。
この時、輝はまさに恋に落ちたのだった。だが、輝自身はまだ自分の恋心に気づいてはいない。吉瀬の魅惑的な笑顔にボウとしている輝の耳に、吉瀬が顔を近づける。
それは同じイケメンと形容しても、若い男にはない、例えていうなら燻し銀のような魅力とでもいえようか。逆にいえば、この年代の―人生を自分の脚で歩き、誠実で真摯に歳を重ねてきた男だけが持つ深みのようなものであった。
この時、輝はまさに恋に落ちたのだった。だが、輝自身はまだ自分の恋心に気づいてはいない。吉瀬の魅惑的な笑顔にボウとしている輝の耳に、吉瀬が顔を近づける。