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キレーな顔した狼さん。

第15章 12匹目

──……と、まぁ…

こんな感じの電話内容だったんだが…

勘違いしないで欲しい。
別に俺は、この電話の内容のせいで
寝不足だった訳じゃない。

問題は…この後。
電話の終わりに瑠樹が言った言葉。

その言葉が、
俺は気になって仕方がなかった。

──ガチヤっ

「汐里?」

「えっ」

昨日の事を思い出していると、
いきなり部屋の扉が開けられた。

「…おい。ノックぐらいしろよ…」

呆れて言う俺に、

「はいはい。ごめんなさいねー」

と、まったく悪びれる様子もなく、
適当に謝るのは…

寝不足の原因の1つでもある、
母さんだった。

「はぁ……で?」

溜め息を吐いて、聞き返す。

いつもは朝、わざわざ二階の俺の部屋まで俺を起こしに来ることなんて無いのに…

「ああっ!そうそう…これっ!」

「……はぁ?何だよこれ…」

目の前に勢い良く差し出されたソレは四角い箱に入った……

「チョコよ」

「あ、やっぱ?」

「ええ」

その箱には、"美味しいチョコ"
と、なんの捻りも無い名前が
でかでかと書いてある。

「……?で?そのチョコが…何だよ」

いきなり、「チョコよ」って
差し出されても…

「え?あぁ、これ?
このチョコ。お土産物よ。瑠樹君に」

「はぁ!?瑠樹にぃー!?」

「そーよ?アンタ…朝から元気ねぇ」

思わず叫ぶ俺に、母さんは
ポカーンと口を開ける。

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