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キレーな顔した狼さん。

第15章 12匹目

「だ、だって…何で瑠樹に…」

「あんらま!当たり前じゃないのっ」

俺の素朴極まりない質問に、
大袈裟極まりないリアクションをする母さん。

「いつもいつも、あんたは瑠樹君に
お世話になりっぱなしで…
感謝のキモチとか、伝えてるわけ?」

ジトー

と、大変居心地が悪い視線を
我が子に向けながら話す母。

「え…そりゃ……もちろん……」

あ、あれ?

母さんに言われて今までの事を
振り替える。

えーっと……
言って……

ない…かも?

だがっ、

ソレは、アイツが…変な事ばっかしてくるからで……

朝から頭をふる回転させて、
理由を考える。

…でも…アイツは、毎日だって
俺の事…バカみたいに、"好き"とか"可愛い"とか…

愛情表現してくれるのに…

(可愛いは男として微妙だが…)

俺は?

昨日だって結局……

素直に自分のキモチなんて
伝えた事、無いかもしれねー…

だけど最後は、
こんな考えに辿り着く。

「まったくアンタは…
何よその自信無さげな返答は……

キモチはちゃんと言葉にしないと伝わらないんだから…

それじゃいつか、瑠樹君にも、愛想つかされちゃうわぁ」

「う、うん…」

今日の母さんは、何だか威厳を感じる…

俺の頭の中には、母さんの「愛想つかされちゃうわぁ」という言葉が何度もリピートされていた。

そー…だよな…
やっぱり伝えねぇーとなっ

「だから、ほらっ!このチョコ渡すとき、ちゃんと素直にキモチ!伝えなさいっ!」

「え?お、おう…」

「よしっ!」

母さんに圧倒されつつも、
チョコの箱を受け取った。

「にしてもこれぇねぇ?
向こうのコンビニで見つけた時は
運命感じちゃったわぁ~」

………

……ん?

…えっ!?

「コンビニ!?」

母さんは片手を頬につけながら、
トロ~ンと目を瞑って言った。

その発言に、俺は当然驚くわけで…

「そぉーよ?
瑠樹君にお土産買おうと思ってたんだけど…なかなか見つからなくて…

そしたら、たまたま入ったコンビニにねぇ?
これを見つけたわけっ!

ご当地限定!って書いてたら買っちゃうわよねぇーー?」

長々とこのチョコにありついた訳を
話す母さん。

いや…買っちゃうわよねー?って…

…買っちゃうかもだけど!

「母さん…仮にもお世話になってる人に…コンビニのチョコって…」

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