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キレーな顔した狼さん。

第15章 12匹目

「はぁーいっ!」

茶の間から母さんが、
玄関に大声で叫ぶ。

そして…

「ちょっとお姉ちゃん!
お母さん今手、離せないからっ
お姉ちゃんが出てくれる?」

この母さんの言葉を合図に、

(姉)「ん?あたし無理。
化粧が途中だからぁー。充、あんた暇でしょ?
あんたが出なさいよ。」

(充)「えーっ!何で僕ぅ!?
お姉ちゃん、化粧しても大して変わんないじゃんかぁっ」

(姉)「……………は?」

(充)「ひっ……ごめんなさいっ!
何でも無いですっ。
お、お父さんは!?」

(母)「あら、お父さん?
お父さんなら、もう仕事いったわよ」

(充)「えーっ!…そーなの?」

(姉)「いいから充!早く出なさい!
待たせてるんだからっ」

(母)「充…お願い?」

(充)「むぅ~……わかったよ…
はぁ……」

とゆう、まるでリレーのバトン渡しのようなやり取りが茶の間で繰り広げられた。

茶の間に居なかったからか、
どうやら俺はリレーの走者からは外されたらしい。

そんな事を思いながらも、
母さん達の会話は右耳から左耳へと、
どんどん流れていく。

「あーあ。こーゆーのはいつも僕なんだよなぁー…」

廊下からは、トタトタと玄関に向かう足音を響かせながら、ぶつくさと文句を漏らす充の声が聞こえた。

可哀想な事に、最終的にアンカーに選ばれた…

いや、押し付けられた?
充はとても不満気だ。

うちはけっこう年功序列なんだよな。

…母さんと姉ちゃんの
うちでの勢力は半端無い。

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