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キレーな顔した狼さん。

第16章 12.5匹目

「えっ!?」

いじけた様に言う瑠樹が…無償に可愛く見えてしまう。

「でも…」

「……?」

あ、あれ?

何故かあの、可愛かった瑠樹はすぐに消えて、意地悪そうに笑う瑠樹が目の前に現れる。

「でも…汐里がそんな風に思ってくれてたなんてなぁ…

実の妹にヤキモチ妬いちゃうくらいにね?」

「あ…っう…///」

「俺、そんなに愛されてたんだ?
ねー?汐里?」

ニッコリと笑う瑠樹。

これは…恥ずかし過ぎる…

「ん?汐里先輩?
僕のこと…そんなに好きなんですか?」

「やっ、ちが…」

さすがに言い返そうとした時、腰に感じる違和感に言葉を無くす。

「あの…瑠樹さん?」

「なーに?汐里先輩っ」

「…腰に…当たってるんですけど」

「汐里先輩さぁ~、そろそろ気づこう?
"当たってる"じゃなくて"当ててんの"」

「へっ!?

あ、あー!そーだっ!お土産っ!

母さんが瑠樹にお土産買って来たんだよなぁっほらっ」

危機感を感じて、慌てて話を変えようとお土産を鞄から出す。

「ふーん。汐里のお母さんが?」

「そーなんだよ!
…チョコ、好き?」

「チョコなの!?」

「う、うん」

あれ?やっぱり苦手なのかな…

「ちょー好きっ」

「え…ホント?」

「うんっ!」

俺の心配とは裏腹に、
満面の笑みで頷く瑠樹を見て、朝の母さんの言葉を思い出す。

言わないと…な。

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