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契り

第4章 鬼狩

「風邪をひくだろう」

朝方、紫楼が毛布を持ってきて自分と僕に掛け隣に寝ころんだ。

「紫楼が、締め出したんじゃん」

文句の一つくらい言いたい。

9月だとは言え、フローリングだけじゃさすがに少し寒い。

「ごめん…」

ポツリと小さく謝ると、そのまま言葉を続けた。

多分、背を向けた僕の背中をじっと見つめて。

背中が、妙に温かく感じた。
違和感とかじゃなくて…一か所だけが、熱を持ったみたいだ。

「俺は鬼だ。どう、足掻いても人間相手には勝てない。…10年以上待ったからって、俺に優先順位があるわけじゃない」

それに・・と言いかけて話すのを一旦止めた。

振り向かない僕に、言葉がゆっくりと繋がった。

「俺に、なるみを繋ぎ止める権利はない。だけど、ここに家に居る権利は欲しい。嫌なら、口を聞いてれなくたっていい」

紫楼が続けた話は、それに…の深刻そうな一言の続きじゃない。

「なんで?」

そんなことが言いたいんじゃないはずなんだ。もっと、違うことを話そうとしたんじゃないの?

振り返えると紫楼の表情は、見たことないくらい真剣な顔つきだった。

「ここに、置いてくれるか?」

髪を撫でられる。
爪が気になるけど、指が長くて綺麗な手。朱槻とは違って、太陽の下で陽に焼けたような小麦色の肌は、髪の色とよく似合っている。

「当たり前じゃん」

嬉しかった。
紫楼が、一緒に居てくることが。

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