テキストサイズ

契り

第1章 居候

「なぁ。なるみぃ。俺、それが食べたい。その、赤いのと白いの」

「あぁ。ケーキ?いいよ。二つあるから一つ食べて」

お皿を用意して、フォークとセットで紅茶まで作って。

鬼だと言う不審者に…
御もてなしをしてしまっている。

いっか…。
1人の誕生日が少しだけ楽しくなったと思えば…って。あれ?

さっき、鬼は僕に、ハッピーバースデーと言ってなかったっけ。

確かに言ってた・・はず。

「なんで…僕の誕生日」

ふと、した疑問。

「あれ?なるみ、覚えてない?俺と昔、約束しただろ。19歳の誕生日から一緒に居ようって」

「昔・・って?」

「なるみが、5歳の時」

5歳じゃ覚えてない。
しかも、口約束だろうし。

「ほら、勾玉の滲み」

鬼は、胸元の開いたシャツを引っ張ると鎖骨を僕に見せた。

薄く紅い勾玉の形をした滲みと言うよりも痣。

…僕にもある。

薄く茶色い滲みみたいなのが、左の二の腕に。

「おなじだろ?それが、約束の印なんだ」

偽りじゃなく、本当に僕は昔この鬼と、約束をしたのか?

覚えてない。



今、解るのは、この鬼のペースに乗りつつあることだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ