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契り

第1章 居候

友達は居る。
バイト先の本屋にも。他にも。

だけど、男が19歳にもなってケーキを食べているなんて友達に知られたくない。

「なるみ。ここに住んでいい?」

--- は?

思考の世界から現実に戻された。

「父も母も、帰って来ない。だから、寂しい。それで、俺を住まわせることにした。だったら、仕方ないからどうぞ。ってことに
なると、思わないか?」

なんだ、その理屈。

そんなもん常識的に通用なんてするわけない…

いや、ある。

「不審者の鬼だよな?そんなこと出来るわけないじゃんか」

そう。
不審者なんだ。この鬼は。

「キスしたのに?」

「勝手にしたんだろ…」

「なるみが好きだ」

--- は?

「サラサラの髪。眉を隠す、厚ぼったくない前髪。少し形の悪い耳にはオニキスのピアスが見え隠れして・・色素の薄い瞳。下唇が厚めの唇…全部好きだよ」

---- そうじゃなくて。

「はじめて会ったし…」

「初めてじゃない。5歳のときに会ってるんだから。これは、約束された再開。そして、勾玉の約束。居候する権利、あるだろ?」

微笑む鬼の表情が、カッコよすぎて思わず頷いてしまった。



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