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愛して、愛されて。

第8章 壊れる音




「、、、っ。」


恭の目が見開かれるのがわかる。

ごめん。困らせて。
泣いてごめん。

そう思うのに、涙は止まってくれない。

それどころか、どんどんと溢れてきてしまう。

ああ、なんて情けない。

なんて、弱いんだろう。


「きょうっ、嫌だ、、、いや、だぁっ」

子供のように、泣くしかできない。


そんな俺を見て、恭はそっと、両手を拘束していた手を離した。


「っ、、、奏太。」

恭の顔が、辛く歪んだ。


俺は、ただ一人の親友にこんな顔をさせてしまうのか。

俺なんて、いないほうがいいじゃないか。

俺がいるから兄さんもおかしくなって、
恭も辛くなって。


ごめん、恭。

ごめん、ごめん、ごめん、

ごめん、兄さん。


「奏太。ごめん、な。」

恭が小さく呟いた時だった。

部屋の扉が、静かに開いたのだ。




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