
愛して、愛されて。
第8章 壊れる音
それがなんなのか。
答えが見つかるのがとても怖くなって、俺は考えるのをやめた。
ただぐったりと、兄さんにすがり付く。
そんな俺を、兄さんはふわりと持ち上げ、
もう一度ベットに降ろした。
兄さんの香りのするベットに横になり、兄さんを見る。
辛そうに微笑んだ兄さんは、やっぱり綺麗で。
今までのことが何もかも嘘のように感じた。
兄さんが乱暴に俺を犯すことすら、夢だったのだと感じてしまう。
そんな都合のいい話で終われるようなことじゃない。そんなことは、分かっているのに。
「今日はもう、寝ようか。」
呟く兄さんは、俺の髪に指を通し、サラサラと弄ぶ。
それが酷く心地よくて、俺はそっと目を閉じた。
