
愛して、愛されて。
第8章 壊れる音
side 恭
静まり返る部屋に1人、壁に背中を預けた。
ズルズルと座り込み、小さく息を吐く。
「クソ野郎。」
呟いた言葉は、虚しく響いた。
こんなつもりじゃなかった。
こんな、つもりじゃ。
ただ、一晩中奏太と居れることが嬉しくて、
楽しいお泊り会のつもりだった。
“アレ"を見るまでは。
酷く綺麗な男の人だと思った。
絡み合う口元に目が奪われて、動けずにいた俺の耳に届いたのは
奏太の厭らしく色っぽい喘ぎだった。
「、、、っ。」
思い出しただけで、欲情してしまうくらいの色っぽい喘ぎ声。
薄暗い廊下でもはっきりと確認する事ができた、奏太の発情したような表情。
どうしようもなく、腹が立った。
強い嫉妬。抑えられなかった。
俺はずっと、出会った頃から奏太が好きだったからーーーー
