愛して、愛されて。
第9章 狂気の矛先
あれから起きた時にはもういつもの登校時間をとうに過ぎていて、俺は慌てて学校の支度をした。
なぜか学校は休みたくなかった。たぶん、恭の顔が見たかったからだ。自分の目で確かめたかった。本当に恭は俺を。
顔を洗うときに鏡を見ると、目が腫れぼったくなっていて、思わず苦笑した。もともとブサイクな顔が、見れない顔になったなと思う。
こんな顔を恭に見られるのかと少しだけ躊躇ったが、やっぱり確かめたくて、
俺は学校に向かった。
教室の前に着いた時にはもう授業が始まっていて、俺は後ろのドアを勢いよく開けた。
瞬間、クラスメイトの視線が俺に集中するのがわかる。「遅刻かよ、奏太!」とクスクス笑うクラスメイトにおはようと手を振った。
「村尾、早く席につきなさい。」
先生の言葉にハイと返事をしながら、恭の席に目を向けた。
そして、ツキンとした胸の痛みを誤魔化すように、俺は席についたのだ。