愛して、愛されて。
第9章 狂気の矛先
クラスメイトが俺に視線を向けて笑うなか、恭だけは俺をチラリとも見なかった。
ああ、痛い。胸が痛い。
本当に恭に嫌われたのか、俺。そう実感したとたん、また目元がじわりと熱くなった。
教室で泣くわけにいかない。ぽとりと涙が机に落ちたと当時に、俺は机に突っ伏する。
ギュッと目を瞑る。最近泣き虫だな、なんて小さく顔を歪めた。
やっぱり学校に来なきゃよかった。周りの奴らに気づかれないように、静かに涙を流す。授業なんて、聞く気分にもなれない。
目を閉じて、考えた。諦めきれない。
恭に嫌われたという現実を受け止められない。
受け止めたくないし、認めたくなかった。
やっぱり、恭と話をしたい。できることならまたもう一度。
そんな思いを胸に、俺は授業終りのチャイムが鳴ること待った。
辛いのは自分だけじゃなかったこと。恭も苦しんでいたこと。
このときはまだ俺はなにも知らずにただ、自分のことしか考えていなかったんだ。