愛して、愛されて。
第9章 狂気の矛先
「よし!今日はここまで。」
チャイムと同時に、先生がパタンと教科書を閉じた。ザワザワと教室内が騒がしくなり、先生も出ていく。
次々と机から立ち上がりそれぞれバラバラになっていくクラスメートに紛れ、恭が立ち上がったのが見えた。
慌てて立ち上がり、教室から出ていった恭を追いかける。俺は無我夢中で恭の手首を掴んだ。
驚いた様に足を止めた恭が振り返り、瞳に俺を映す。一瞬だけ、戸惑うように顔を歪めた恭は何も言わず、俺を見つめる。
「き、恭、、、!」
その瞳の冷たさに、なんともいえない不安を感じながら、小さく名前を呼んだ。
何も言わずただ俺を見つめる恭に、少し怖気付きながらもおずおずと言葉を発する。俺が一言、話しをしたいと切り出した時だった。
バシッと音がして、俺の体制が一気に崩れたのだ。
「えっ、、、。」
小さな声が出た。恭に腕を払われたことに、動揺が隠せない。戸惑った様に恭に目を向けた瞬間、俺は体の熱が急激に冷たくなっていくのを感じた。